クレジットカードの使い過ぎで自己破産する方法と自己破産後もカードを作る方法
ネットショッピングや税金の支払いなど、クレジットカードを利用する機会はますます増えています。しかし、「借金をしている」という意識が低くなり、利用額が膨らんで払えなくなる落とし穴もあります。
クレジットカードの支払いができなくなった場合の最終手段として、「自己破産」という方法があります。ここでは、クレジットカードの使い過ぎで自己破産する方法と、その後にカードを作る方法について解説します。
目次
急増する自己破産の現状
自己破産の申立件数は2003年の約24万件をピークに、2015年は6万3844件にまで減り続けていました。しかし、2016年には6万4637件と増加に転じると、2017年も6万8791件となり、2年続けて増加。前年度比も2016年が1.2%増であったものが、2017年には6.4%増と大幅に伸びています。
銀行カードローンの貸出残高がここ数年膨らんでいることを受け、「銀行カードローンの利用が自己破産の増加に影響している」という指摘がされていますが、住宅ローンやクレジットカードの利用なども自己破産の要因として見逃せません。
クレジットカードの使い過ぎで自己破産する方法
返せなくなった借金を法的に解決する手段を「債務整理」といいます。クレジットカードを使い過ぎ、カード支払い分を払えなくなった場合も、債務整理をすることは可能です。債務整理には以下の4つの方法があります。
1.任意整理
債権者(お金を借している側)と話し合いをして、利息をカットしてもらったり、支払額を減額してもらったりします。裁判所は通しません。
2.個人再生
裁判所に再生計画を提出し、借金の元本を減額してもらう方法。
3.特定調停
裁判所に調停手続きを申し立て、間に入ってもらって債権者と返済方法の話し合いをする方法。
4.自己破産
裁判所に借金の返済を免除してもらう(免責)方法。
自己破産は他の3つの方法と異なり、返済そのものをゼロにしてもらう方法。利息をカットしてもらったり、元本を減額してもらったりしても返済できない場合に取る最終手段といえます。
自己破産をして返済をゼロにしてもらうには、裁判所に自己破産の申し立てをし、免責が認められなければなりません。自己破産の申し立てから免責決定までの流れは以下のとおりです。
(1)弁護士などの専門家に依頼する
自己破産の申し立ては個人でも可能ですが、書類を揃えたり、裁判所とやりとりをしたり個人では難しいこともたくさんあります。円滑に手続きを進めるため、弁護士に手続きを依頼します。
(2)必要書類を裁判所に提出し、破産申立手続きを開始する
以下のような書類を用意し、地方裁判所に提出。破産申立の手続きを開始します。
- 破産手続開始及び免責申立書
- 陳述書
- 財産目録・家計簿
- 所得証明書
- 戸籍謄本
- 住民票
上記以外にも、自動車を所有している場合は車検証の写しが必要になるなど、申し立てをする人の状況に応じて必要になる書類があります。
(3)破産手続開始決定
「破産手続」とは、申し立て人の財産状況や自己破産に至るまでの経緯を調査し、免責を許可できるか審査することです。
換金できる財産がある場合、財産を現金化し、債権者に配分する必要があるため、破産手続開始から終了までに時間がかかります。このようなケースを「管財事件」といいます。
一方、現金化できるような財産を持っていない場合は、破産手続開始から終了まで時間はかかりません。破産手続開始と同時に終了するので、このようなケースを「同時廃止」といいます。
(4)免責審尋
破産手続が終了すると、「免責審尋」が行われます。「免責審尋」とは、裁判所が免責許可の判断するために、申し立て人に質問をすることです。
(5)免責決定
破産手続や面積審尋を経て、免責決定が裁判所より出されます。免責決定が出て、初めて借金がなくなります。
自己破産をすれば借金はゼロになりますが、以下のようなデメリットもあります。自己破産をするときは慎重になりましょう。
- 生活必需品以外の財産を持つことが認められない。家や車は差し押さえられる。
- 所持できる現金は99万円まで。
- 信用情報機関に自己破産の情報が登録され、官報に名前が掲載される。
- 引っ越しや旅行など行動の自由が制限される。
自己破産するときにクレジットカードを手もとに残せる?
自己破産はすべての借金をゼロにする方法であるため、複数枚クレジットカードを使っていて、その支払いが残っている場合はすべてのカードの支払いがゼロになります。
自己破産などの債務整理をしたり、支払いが遅れたりした場合、信用情報機関にそれらの情報(事故情報)が登録されます。クレジットカード会社は信用情報機関から利用者の情報を定期的に照会しており、事故情報のある利用者のカード利用や更新を止めてしまいます。
自己破産の際、借金の原因となっていたクレジットカードはすべて使えなくなります。また、手元に使っていなかったクレジットカードも、発行しているカード会社が利用者情報を照会することで利用や更新ができなくなります。最終的には、自己破産をするとクレジットカードを手元に残すことはできません。
自己破産後、事故情報はどうなるのか?
自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が登録されます。いわゆる「ブラックリストに名前が載る」と表現されるのは、このことを指しています。一度、事故情報が登録されると一定の年数が経つまで情報は消えません。
現在、国内にはJICC(日本信用情報機構)、CIC(クレジット・インフォメーション・センター<シーアイシー>)、JBA(全国銀行協会)という3つの個人信用情報機関があり、金融機関や消費者金融、信販会社などはいずれかに加盟。銀行系クレジットカード会社はJBA、それ以外のクレジットカード会社はCICに加盟しているケースが多いようです。
自己破産などの事故情報はJICCとCICで5年間、JBAで10年間登録されます。クレジットカード会社は申込者の審査をする際、加盟している信用情報機関に照会を行い、事故情報などがないかチェックします。一度自己破産をすると、少なくとも5年間はその情報が残るため、新たにクレジットカードを作ることはできなくなります。
自己破産後、クレジットカードを作る方法と注意点
自己破産した後、クレジットカードを再び持つには5~10年の時間が必要です。個人信用情報機関に登録されている事故情報が消えるまでに、JICCとCICなら5年、JBAなら10年かかるからです。
つまり、JICCとCICに加盟している会社のクレジットカードなら、自己破産から5年を経過すれば作ることができます。各機関の加盟企業はそれぞれのHPに掲載されているので、確認しましょう。ここで注意しなければならないのが、JICCとJBAの両方に加盟するといったように複数の機関に加盟している場合。JBAは事故情報の登録機関が10年と長いので要注意です。
自己破産後、事故情報の登録機関が過ぎてクレジットカードを作る前には、事故情報が消えているかどうか確認しておきましょう。JICCやCICは郵送や窓口で、JBAは郵送で自分の信用情報を取り寄せることができます(手数料が必要)。
また、自己破産をしたときに免責の対象となったクレジットカードと同じ業者のカードを、ふたたび作ることはできません。信用情報機関から事故情報が消えたあとも、業者にはあなたが自己破産をしたという情報が残っているからです。
自己破産の原因となったカード会社を避け、事故情報が消えたことを確認できれば、クレジットカードを申し込むことができます。もちろん、安定した収入と連絡が取れる住所は必須です。
家族が自己破産した場合、自分のクレジットカードに影響はあるの?
ここでは少し視点を変えて、家族が自己破産をした場合について考えてみましょう。
「配偶者が自己破産をした場合、自分がクレジットカードを作ることができるのか?」と不安になる人もいるのではないでしょうか・
先述したように、カード会社は申込者の審査をする際、個人信用情報機関に照会をかけます。一般的には申込者本人の情報しか見ることができないとされているので、照会をかけた時点では、カード会社は配偶者が自己破産者であることを把握することはできません。
しかし、配偶者が自己破産をしたときに持っていたカード会社で、クレジットカードを作るのは避けた方が無難です。個人信用情報機関から配偶者の事故情報が消えたあとも、社内には情報が残っているからです。配偶者の情報があなたの審査に不利になる可能性は、十分にあります。念のため、配偶者が使ったことのないクレジットカードを申し込むことをおすすめします。
自己破産やその後について弁護士に相談するメリット
クレジットカードを使い過ぎて支払いができず、どうにもならなくなった場合、自己破産は有効な解決法のひとつです。しかし、法律に詳しくない人がひとりで裁判所に書類を提出したり、裁判官と面接したりすることは、かなりの負担を要します。そこで、実際には弁護士などの専門家の手を借りることになります。
弁護士は手続きの代行はもちろん、自己破産のメリットやデメリットの説明、自己破産後の生活についての相談にも乗ってくれます。自己破産をはじめとする債務整理に積極的に取り組んでいる弁護士を探し、依頼してみましょう。
まとめ
クレジットカードの使い過ぎが原因で自己破産をする場合、裁判所に自己破産の申し立てをし、一定の手続きを経て免責決定=支払い義務がなくなります。クレジットカードによる借金がなくなると、免責の対象になったカードはすべて使えなくなります。
自己破産後、ふたたびクレジットカードを作ることができるのは、5~10年後のことです。個人信用情報機関から自己破産の情報が消えてからです。新たにカードを作るときは、自己破産時に持っていたカード会社を避けるのが賢明です。
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