カードローンで自己破産する方法と自己破産後も上手に利用する流れ
専用のカードを使ってお金を借りることができるカードローン。手軽にお金を借りることができるので便利ですが、気が付けば、多額の借金を抱えることになりかねません。
では、カードローンの返済ができずに自己破産する場合は、どのようにすれば良いのでしょうか。
ここでは、カードローンで自己破産する方法と、自己破産後もカードローンを上手に利用する流れについて詳しく解説します。
目次
カードローンの特徴と自己破産のリスク
まず、カードローンの特徴を確認しましょう。カードローンとは、専用のカードを使って、お金を借りることができる制度のことです。必要としている時に必要な金額をすぐに借り入れできる利便性や、担保がいらないこと、ローンの用途が自由であることから、多くの人が利用するサービスに成長しました。
しかし、その一方、キャッシングなどと比べて借り入れできる金額が大きいことや、分割で返済していくこと、他のローンよりも利息が高いことなどのデメリットもあります。
長い不況の中、カードローンで借りたお金の使い道も変わってきました。昔はギャンブルなどの遊興費に使うことが多かったのですが、最近では、日々の生活費のために使う人が増えています。リストラや勤めていた会社の倒産、親の介護などで家族がパートをやめるといったことを背景に、収入が減っていることが原因として考えられます。
そのため、普通に生活している人もカードローンがふくらみ、自己破産のリスクが増加しています。実際に、2016年には自己破産件数が十数年ぶりに増加しました。
カードローンによる自己破産を防ぐ「総量規制」
ひとくちにカードローンといっても、大きく分けて銀行カードローンと消費者金融カードローンがあります。銀行カードローンは銀行が、消費者金融カードローンは消費者金融が主体となって行っているカードローンです。
それぞれで利息やサービスなどの違いがありますが、もっとも大きな違いが「総量規制」です。
総量規制とは、簡単に言うと借り入れをする人が、借りすぎないようにするための規制で、年収の3分の1を超える金額の借入ができないように定められています。例えば、年収400万円の人が借り入れできるのは、120万円までです。
この規制ができたことで、カードローンで簡単に借り入れがしにくくなり、自己破産する人が減ると見込まれたのですが、実は抜け穴がありました。総量規制には、規制の対象になるカードローンと対象にならないカードローンがあったのです。
消費者金融や信販会社のカードローンは規制の対象になりましたが、銀行カードローンは規制の対象にならなかったため、多くの人が銀行カードローンに流れ、結果として自己破産は増加しています。
※ただし、金融庁や総理大臣からも改善を求められ、2017年5月以降は、銀行も自主規制ということで規制を強めるようになっています。
カードローンで自己破産する方法と流れ
長い不況により、カードローンを生活費に充てる人が増えたことや、銀行カードローンが総量規制の対象にならなかったことなどの理由で、カードローンの返済に苦しんでいる人は増えています。その対処方法として考えられるのが自己破産です。
ここでは、カードローンで自己破産する方法とその流れを見ていきましょう。
自己破産とは、裁判所に借金などの支払いができないことを申し立て、借金を免除してもらう手続きのことです。まず裁判所は、その人が支払い不能状態にあるかどうかを判断します。しかし、それだけでは自己破産になりません。借金を免除してもらうためには、「破産宣告」と「免責許可」の2つが必要となります。では、手続きを確認しましょう。
(1)弁護士と相談する
自己破産は個人でも手続きができますが、必要書類の用意や裁判所のやりとりなど複雑なことが多いです。自己破産が認められるのと認められないのでは、その後の生活が大きく変わってくるため、一般的には専門家である弁護士と相談し、委任契約を締結します。
(2)必要書類の用意
自己破産には、次のような書類が必要です。
- 破産申立書
- 免責申立書
- 陳述書
- 財産目録
- 家計簿
- 所得証明書
- 戸籍謄本、住民票など
また、所有している財産やその人の状況などでそのほかの書類も必要となります。弁護士に相談しながら、必要書類を用意します。
(3)破産手続開始の申立てと免責許可の申立て
先述したように、自己破産で借金を免除してもらうためには、「破産宣告」と「免責許可」の2つが必要です。そのため、破産手続開始の申立てと免責許可の申立てを行います。
通常は「破産手続開始・免責許可の申立書」という1つの申立書に必要書類を添付して、裁判所に提出します。
(4)破産(免責)手続と免責審尋
裁判所に自己破産の申し立てを行うと、次は、破産(免責)手続と免責審尋です。
破産(免責)手続は、裁判所が免責を許可していいかどうかについて審査し、免責許可または不許可の決定をするもの。免責審尋は、免責を与える判断をするために、裁判官が破産手続きをする人に直接質問をするものです。
(5)免責の決定
免責審尋などを行い、問題がなければ免責が許可され、決定します。
お金に換えることができる財産を持っている場合は、その財産を処分する必要があるため、免責許可決定が認められるまで時間がかかります(管財事件)。お金に換えることができる財産を持っていない場合は、比較的短い期間で免責許可決定が認めらます(同時廃止)。
自己破産には、借金を返す必要がなくなるメリットもありますが、生活必需品など当面の生活に必要となる財産以外の財産を処分されたり、信用情報(ブラックリスト)や官報に名前が載ったりするなどのデメリットもあるので、手続きをする前には慎重な検討が必要です。
カードローンで自己破産してしまったら信用情報はどうなる?
カードローンで自己破産する時に気になるのが、自己破産ができるかどうかと、自己破産をした後の生活のことでしょう。自己破産には多くの手間や労力が必要となるため、自己破産をした人の多くは、二度と自己破産をしようとは思いません。
しかし、その後の生活で、少しお金が足りない場合がでてくるかもしれません。そんなときに、返済できる範囲内でカードローンを利用したいと考える人は少なくないでしょう。では、カードローンで自己破産した場合に、その信用情報はどうなるのでしょうか。
日本には、「JICC(日本信用情報機構)」「CIC(シーアイシー)」「JBA(全国銀行協会)」という3つの個人信用情報機関があります。通常、金融機関や消費者金融、信販会社は、3つの個人信用情報機関のいずれかに加入しています。カードローンで自己破産した場合には、その情報が3つの個人信用情報機関に登録され、金融機関や消費者金融、信販会社が確認できるようになっています。
自己破産後、何年経てばカードローンを利用できる?
では、自己破産をすると個人信用情報機関に登録されるので、カードローンを利用できないのかというと、そうではありません。実は、自己破産の情報が個人信用情報機関に登録されているのは、各機関とも一定期間のみです。その期間を過ぎれば、カードローンを利用することができます。
登録期間はどの個人信用情報機関も原則、5年です。ただしJBA(全国銀行協会)では官報情報が10年登録されるため、結局10年間登録されることになります。
自己破産後にカードローンを利用する方法と注意点
3つの個人信用情報機関すべてで自己破産の情報が消えるまでには、10年かかります。では、10年間カードローンを利用できないかというとそうではありません。5年たてばカードローンを利用できる可能性があります。それは、自己破産後にカードローンを申し込む会社が、どの個人信用情報機関に加入しているかに関係します。
原則、銀行などの金融機関はJBA(全国銀行協会)に加入しているため、自己破産の情報が消えるまでに10年かかります。自己破産後10年間は、銀行カードローンの利用は難しいでしょう。
しかし、消費者金融や信販会社はJBA(全国銀行協会)ではなく、JICC(日本信用情報機構)やCIC(シーアイシー)に加入していることが多いです。JICC(日本信用情報機構)やCIC(シーアイシー)の場合は、自己破産後5年で自己破産の情報が消えるため、5年経過すれば消費者金融カードローンを利用することができる可能性がでてきます。
手数料はかかりますが、JICC(日本信用情報機構)やCIC(シーアイシー)は窓口や郵送(CICはネットでも受け付け可)で、JBA(全国銀行協会)では郵送で自分の信用情報を確認することが可能です。
自己破産後にカードローンの利用を考える際には、自分の信用情報を確認してみても良いでしょう。ただし、自己破産する前に利用していたカードローンは利用できないので、注意しましょう。
もちろん、自己破産前・後にかかわらず、カードローンの審査に通るためには、安定した収入があり、住民票を取ることができる住所地があるなどの要件が必要となります。カードローンの利用を考えている場合は、しっかりとした準備も重要です。
まとめ
カードローンの返済が滞り、生活に支障をきたす場合に有効な手段の1つが自己破産です。しかし、自己破産の手続きは複雑で、特に初めての場合は心身ともに大きな負担がかかります。
また、自己破産を考える際に忘れてはいけないのが、自己破産後の生活のことです。自己破産を行えば、カードローンの借金がなくなるだけでなく、生活に最低限必要なものを除き、財産もなくなってしまいます。
そのため、自己破産後の収入はどうするのか、住むところはどうするのか、カードローンやクレジットカードなどの利用はどうなるのかなど、知っておかないといけないことはたくさんあります。
自己破産のことやその後のことについて、個人がひとりで行うには限界があります。
きちんとした生活再建を行うためにも、自己破産とその後のカードローン利用について弁護士などの専門家に相談しましょう。
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