
債務整理とは何か?あなたに合った借金の返済・整理方法を解説
「お金が返せない、返しても返しても借金が減らない」
そんな借金問題で苦しむ方を法的に救済する手続きが「債務整理」です。債務整理は、借金を減額したり、支払い期間を延長したりすることで無理のない返済ができるようにしたり、あるいは借金その物を帳消しにすることで借金から解放されて生活が送れるようにする、法律によって認められた借金整理方法のことをいいます。今回は債務整理の種類とそのメリット・デメリットをわかりやすく解説することで、あなたに合った債務整理の方法をご提案します。
債務整理とは
債務整理とは法律によって認められた借金整理方法のことです。具体的には、借金の減額や期間の延長などで返済しやすくする「任意整理」「個人再生」「特定調停」と、借金そのものをゼロにする「自己破産」という4つの方法があります。
(1)借金の減額率
債務整理をすると、具体的にどれくらい借金が減るのでしょうか。借金の減額率は、選択する方法によって大きく異なります。借金の減額率が大きいのは、自己破産で、借金をゼロにすることができます。その次に減額率が大きいのは、個人再生で、借金の総額を最大5分の1に圧縮することができます。三番目に減額率が大きいのは任意整理です。基本的に、将来かかってくる利息をカットし、元本のみを返済していくことになります。
自己破産 | 借金がゼロ(100%なくなる) |
個人再生 | 最大5分の1~10分の1まで減額 |
任意整理 | 利息をカット |
特定調停 | 債権者次第 |
①注意事項
自己破産をしても返済義務がなくならない債務があります。例)滞納税、養育費、従業員への給料、暴行による損害賠償金など
個人再生には、小規模個人再生と給与所得者再生という2種類があります。いずれの手続きをとるかで、最低限、債権者に返済しなければならない金額(最低弁済額)が変わってきます。小規模個人再生では、「最低弁済基準」と「清算価値(保有している財産の評価額)」のいずれか高い方が最低弁済額になります。一方給与所得者再生では、「最低弁済基準」「清算価値」、「可処分所得の2年分」のいずれか高い金額が最低弁済額になります。
②最低弁済基準
借金の総額 | 最低弁済額 |
100万円未満 | 債務総額の全額 |
100万円以上500万円以下 | 100万円 |
500万円以上1500万円以下 | 債務額の5分の1 |
1500万円以上3000万円以下 | 300万円 |
3000万円以上5000万円以下 | 借金総額の10分の1 |
※借金の総額が5000万円を超える場合は、個人再生を利用することはできません。
例えば、小規模個人再生を利用する場合で、総額が600万円、保有している財産の評価額が120万円以下の場合であれば、最低弁済額は120万円となり、借金の8割もカットすることができます。
(2)手続きの簡便さ
自己破産、個人再生は裁判所を利用した手続きのため、裁判所に提出する書類を揃えたり、借金の経緯を明確にしたりと、ある程度の手間と時間がかかります。
これに対し、任意整理は裁判所を利用せずに、任意に債権者との話し合いで進められるので、必要な種類をそろえるなど煩雑な手間を要しません。また、特定調停も、裁判所を利用した手続きになりますが、必要とされている書類が自己破産などに比べて少なく、比較的、簡便に手続きを進めることができるといえます。
(3)手続きにかかる期間
自己破産(同時廃止の場合) | 6ヶ月程度 |
個人再生 | 4〜6ヶ月程度 |
任意整理 | 2〜6ヶ月程度 |
特定調停 | 2〜4ヶ月程度 |
(4)手続きにかかる費用(自分でする場合)
自己破産(同時廃止) | 収入印紙:1500円
郵便:400円程度 予納金(官報掲載料)1〜2万円程度 |
自己破産(管財事件) |
収入印紙:1500円
郵便:8000円程度 予納金:50万以上※1 |
個人再生 | 収入印紙:1万円
郵便:4000円程度 予納金(官報掲載料)1万2000円 個人再生委員の報酬:15万〜30万円程度※2 |
任意整理 | 費用はかかりません |
特定調停 | 収入印紙:債権者1社につき500円
郵便:債権者1社につき420円 |
※1弁護士に依頼せずに、ご自身で手続きを行った場合、自己破産では少額管財が利用できないため、ある程度の財産がある場合は、予納金が高額になります。
自己破産では、申立人に20万円以上の財産がある場合、原則として裁判所により破産財産管財人が選任され、破産者の財産を現金化して債権者に分配することになります。これを「管財事件」といい、管財事件になった場合は、管財人の報酬がプラスされるので、予納金が高額になります。ただし、管財事件になる場合であっても、弁護士が代理人になっている場合は、裁判所によっては予納金20万円程度に抑えた少額管財事件としてくれる場合があります。
※2また個人再生においても、弁護士などの専門家に依頼しない場合は、個人再生委員が選任されますので、その報酬費用分だけ手続き費用が高くなります。
(5)手続きにかかる費用(専門家に依頼した場合)
手続きを弁護士などの専門家に依頼すると、裁判所へ支払う手数料だけでなく、専門家への報酬も必要となります。報酬の額は専門家によって異なりますが、おおよその目安が下記の表になります。
自己破産 | 20万〜40万円程度 |
個人再生 | 30万〜50万円程度 |
任意整理 | 1社3〜5万円程度の着手金と減額された
金額の10%程度 |
特定調停 | 10万〜30万円程度 |
(6)債務整理の影響
債務整理をした場合の主な影響についてまとめました。
任意整理 | 自己破産 | 個人再生 | 特定調停 | |
持ち家の処分 | 不要 | 必要 | 不要
※住宅ローン特別条項を利用した場合 |
不要 |
財産の処分 | 不要 | 必要
※20万円以上の財産 |
不要 | 不要 |
職業制限 | なし | あり
※免責許可の決定が確定するまでの一定期間のみ |
なし | あり |
ブラックリスト
(信用情報に事故情報が記載される期間) |
5年 | 5〜10年 | 5〜10年 | 5年 |
官報への掲載 | なし | あり | あり | なし |
家族に知られる・知られない | 知られない | 知られる可能性が極めて高い | 知られない |
任意整理に向いている人
(1)ある程度の収入がある人
任意整理では、元金の返済が必要となるため、少なくとも、借金の総額が、収入から生活費や社会保険料等を差し引いた金額×60回(5年で返済)で得られる金額よりも少ない必要があります。例えば手取り収入20万円で、家賃や光熱費、食費や携帯代、交際費などの生活費が15万円かかる場合、毎月5万円程度が返済資金(返済原資といいます)になります。借金の総額が5万円×60回=300万円よりも低ければ、任意整理で進めることが可能です。
ただし、任意整理で進めようとするあまり、生活費をぎりぎりまで切り詰めて、返済原資をねん出することは、病気やケガなどの突発的な支出が必要となった場合に、再度返済が困難な状態に陥り、任意整理が失敗に終わる危険性があります。そうならないためにも、無理のない返済計画をたてる必要があります。
(2)家族に内緒で借金を整理したい人
弁護士などの専門家に任意整理を依頼した場合、債権者との交渉は全て専門家が対応してくれるので、直接債権者とやりとりする必要がなくなります。また、弁護士事務所からの郵便物についても、個人名で郵送してもらうよう依頼していれば事務所名ではなく個人名で送られていますので、家族にばれる可能性は低いといえます。
(3)持ち家など処分されたくない財産がある人
任意整理では、自己破産のように財産を処分する必要がありませんので、財産を手放すことなく借金を整理することができます。
(4)除外したい債権者がいる人
自動車ローンを任意整理すると、自動車を債権者へ返却しなければならなくなります。しかし、自動車がなければ生活や仕事に支障をきたす場合には、自動車ローンを外して、借金を整理する必要性がでてきます。自己破産や個人再生では一部の債権者を除外して手続きを進めることはできませんが、任意整理では、やむをえない事情等があれば一部の債権者を除外して他の借金だけを整理することは可能です。
ただし、このクレジットカードだけは残したいという理由で、任意整理から除外することは、あまり意味がありません。任意整理を行えば、信用情報には事故情報が記載されるため、そのカード会社が信用情報に照会をかければ、強制的に契約を解除してくるため、いずれそのカードは使えなくなるからです。
自己破産に向いている人
(1)無職の人
自己破産は借金をゼロにする手続きのため、手続き後の返済は不要になります。そのため無職で収入がない人や、収入はあっても支払原資が確保できない人に適した手続きといえます。
(2)財産がない人
自己破産では20万円以上の財産は原則として処分されますので、20万円以上の財産がなく、また支払能力もない場合には、自己破産を検討してみてください。
(3)すでに給与を差し押さえられている
差押えを受けると給与の4分の1が債権者にもっていかれてしまうので、ますます生活が苦しくなってしまいます。給与の差押えは、任意整理ではストップできず、自己破産か個人再生の手続きの中でストップさせることができます。
個人再生
(1)持ち家がある人
個人再生では住宅ローン特別条項を利用することで、住宅ローンの支払いを続けながら、他の借金の整理を進めることができます。
住宅ローン特別条項を利用するには、
- 申立人の持ち家で、そこで暮らしていること
- 持ち家に住宅ローン関係の抵当権以外の担保権が設定されていないこと
- 個人再生に基づく借金の返済と、住宅ローンの返済の両方を継続できる収入があること
- 住宅ローンを滞納すると保証会社がローン会社に代わって弁済(代位弁済)を行うことになりますが、仮に代位弁済がなされている場合は、その弁済から6か月が経過していないこと
などの条件を満たす必要があります。
(2)ギャンブルや浪費による借金がある人
任意整理をするには借金が多額で、その借金はギャンブルや浪費などによるものである場合は個人再生を検討するといいです。自己破産ではギャンブルや浪費による借金は免責不許可事由に該当するため、借金の返済義務が免除されない危険性があります。この点、個人再生には借金の理由などは問題とならないため、ギャンブルや浪費で膨れ上がった借金も整理することができます。
特定調停に向いている人
特定調停は裁判所が仲裁役になってくれるので、ご自身で手続きを進めることも可能です。そのため、専門家への費用を抑えたいという方に向いています。ただし、債権者によっては特定調停に応じない業者もおり、話し合いが決裂してしまうこともあります。また他の整理方法に比べて減額率も低いことから、調停後に支払いが続けられなくなることもあり、その場合には弁護士などの専門家に相談するようにしましょう。
まとめ
一口に債務整理といっても、減額できる額や手続き費用、期間などもまちまちで、メリットデメリットも大きく違ってきます。借金問題を解決したいなら、まず自分の状況にあった方法を選ぶ必要があります。どの方法がいいのかご自身で判断できないときは、迷わず債務整理の専門家である弁護士に相談するようにしましょう。
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