住宅ローンが払えず自己破産する方法と任意売却について解説

リストラや給与の減少、予期せぬ病気や教育費の増加など、ローン契約時には予想もできなかった理由で、住宅ローンの返済が滞り、自己破産せざるをえない事態に追い込まれる「住宅ローン破綻」が増えてます。今回は住宅ローンが支払えない場合の解決策などを説明します。

住宅ローンの支払いが滞った場合

マイホームなどの住宅を購入する際、ほとんどの方が住宅ローンを組んで、毎月返済を続けていきます。住宅ローンは長期的に支払っていくものです。そのため、病気やケガで休職や退職を余儀なくされたり、リストラや給料カットなどローン契約時には予想もできなかった事情によって、住宅ローンの返済ができなくなることがあります。

では住宅ローンの支払いが滞ると、どうなるのでしょうか。まず、住宅ローンの支払いが滞ると、銀行などの金融機関から支払いを促す電話や書類が届くようになります。この段階で滞納を解消できれば問題はありませんが、2か月以上滞納が続くと、銀行からの催促が厳しくなっていきます。

具体的には滞納が2か月以上続くと、銀行などの金融機関は、住宅ローンを「不良債権」(予定通りに回収できていない債権のこと)にしないよう、督促状や催告書を使って厳しい文面で支払いを催促してきます。催告書には、期日を決めて、その支払期日までに支払いがない場合には法的手続きをとるなど強い文言が書かれているのが通常です。

催告書を無視してその後も滞納を続けていれば、「期限の利益喪失通知」が届きます。この通知はいわば最後通告です。住宅ローンは、銀行から融資を受けたお金を、長期的な分割で返済していきます。つまり、一括して返済する必要はなく、決められた日に、決められた金額を返済していればいいのです。

このように分割で支払える利益を「期限の利益」といいます。

ただし、支払いを怠れば、期限の利益は喪失し、一括で返済する義務が生じます。期限の利益喪失通知は、滞納期間が3~6か月程度、続いた場合に送られてきます。この通知が届けば、住宅ローンを分割で返済する権利が失われ、残りのローンを一括で返済しなければならなくなります。

また銀行は、期限の利益喪失通知を送るとともに、保証会社に対し、債務者に代わって住宅ローンを一括で返済するように請求します。保証会社が債務者に代わって住宅ローンを返済すれば、銀行に変わり保証会社が債権者となります。つまり、今後は保証会社に対して住宅ローンを支払うことになります。

ただし、期限の利益が喪失している以上、保証会社へは住宅ローンの残金を一括で支払う必要があります。一括で返済できない場合は、自宅は差し押さえられ競売にかけられることになります。住宅ローンを最初に滞納したときから競売までの期間は、一般的に6か月程度と言われています。

住宅ローンの返済が厳しい場合の対応

住宅ローンの返済が厳しい場合は、支払いをしないまま放置していると競売にかけられマイホームを失うことになります。ケガや病気で一時期仕事ができない、転職に伴い給与が減額した、給与やボーナスがカットされた、リストラにあって一時的に無職になったなどの理由で返済が厳しい場合は、銀行に返済条件の見直しを相談してみるといいでしょう。

返済条件を見直することを、「リスケ(リスケジュール)」といい、上記のような相当な事情があれば銀行はリスケに応じてくれる可能性があります。

リスケには大きく(1)返済期間の延長と、(2)一時的な返済の猶予の2つがあります。

(1)返済期間の延長

住宅ローンの毎月の返済額は、金利を含めた借入金額を返済年数で割った金額になります。そのため、返済年数を延長すれば、その分月々の返済額を減らすことができます。

では、リスケをすればどのぐらい期間を延長できるのでしょうか。何年という明確な基準はありませんが、一般的に、返済期間が35年以内であれば、期間を延長することができます。例えば返済期間30年で住宅ローンを組んでいた場合は、リスケをすることで5年を限度に延長することができます。

ただし、期間の延長には完済時の年齢も考慮されます。銀行の多くは完済時の年齢を80歳未満までに定めているため、リスケによって返済期間を延ばせても、完済時の年齢が80歳を超える場合は、超えた期間の延長は認められなくなります。返済期間を延長すると、月々の返済額を減らすことはできますが、延長した分利息が加算されるので、返済金額の総額は大きくなるというデメリットがあります。

(2)一時的な返済の猶予

一時的な返済猶予とは、一定期間、元金の支払いが免除され、利息のみを支払っていけばいいものです。その期間は6ヶ月から1年程度です。これは一時的な応急措置なため、将来収入が回復する見込みがあることが必要です。

また、一時的に返済は猶予されますが、返済期間自体が延長されるわけではありません。返済金額も変わらないので、一時的な返済猶予が解除された後は、猶予前よりも月々の返済金額が増えることに注意が必要です。

なお、リスケの交渉は、延滞してまだ日が浅い時期までに行うのがよいでしょう。延滞が3か月以上続き、期限の利益を喪失してしまうと、リスケの交渉を行うことは困難になります。

任意売却をおこなった場合

一時的な収入の減少であれば、リスケで対応できても、長期的に収入の回復が望めない場合に、住宅ローンの支払いを滞り続けると、いずれマイホームは差し押さえられ、競売にかけられてしまいます。

通常、住宅ローンのような借入金額が大きい債権では、お金を貸す(債権者)側は、貸したお金を担保するために、自宅や土地に「抵当権」を設定します。

抵当権とは、住宅ローンなど金融機関からお金を借りるときに自宅や土地に設定する担保権のことです。住宅ローンの返済が滞ると、債権者は自分が貸したお金を回収するため、抵当権に基づいて、自宅を競売し、その売却代金から債権を回収することができます。

競売は、債権者の申立てに基づき、裁判所が行います。競売では、物件を買い受けた人が、物件の所有者に対して直接、明渡を交渉しなければならず、また買受人自らがリフォームを行わなければならないことなどから、市場価格の5~7割程度の価格で取引されます。そのため、売却後に借金が残る可能性があります。

また競売になれば購入希望者が近隣に聞き取りをしたり、インターネットに室内写真が掲載されたりと、近所に知られる危険性もあります。このような場合、どうせマイホームを手放すのであれば、「任意売却」を検討した方がいいでしょう。競売が裁判所を介した法的な売却手続きであるのに対し、任意売却は当事者間の意思によって行われる売却手続きです。

任意売却といっても通常の売却と違いはありません。ただし、通常の売却とは異なり、任意売却では住宅ローンを借りている銀行(債権者)の同意が必要となります。この同意は、単に任意売却をすることだけでなく、売却代金をいくらにするのか、売却代金のうち債権者が受け取る金額はいくらか、などについて了承を得る必要があります。

任意売却のメリット・デメリット

任意売却は、市場価格に近い金額で売却できるので、借金を大幅に減らすことができるというメリットがあります。このことは債権者側からみても多くの金額を回収できるのでメリットの一つになります。そのため、ほとんどの債権者は任意売却に同意してくれます。

また、任意売却は通常の売却と変わらない方法で行われるので、住宅ローンが支払えなくなったことを近隣に知られる可能性はきわめて低くなります。さらに任意売却では、売却代金から引っ越し代を出してもらえることもあるため、転居にかかる支出を抑えることができます。では任意売却のデメリットには何があるのでしょうか。

競売では、手続きに通常半年から1年程度かかるため、その間、自宅に住み続けられ、買受人が現れなければ、ずっと住み続けられる可能性がありますが、任意売却では競売に比較して手続きが短期間で終わるため、すぐに自宅を引き払わないといけないのがデメリットとなります。

また、競売手続きは裁判所が行ってくれるので、手続きに関与する必要はありませんが、任意売却では主体的に手続きに関与していく必要があります。さらに、任意売却を扱う業者の中には、先に手数料を受け取って、行方をくらます悪徳業者もいます。基本的には、任意売却では、売却代金から仲介手数料などが清算されることになるので、手数料などを要求してくる業者とは契約をしないようにしましょう。

競売と任意売却の違い

競売 任意売却
手続き 裁判所が行う 当事者(債務者、または債権者)が行う
売却代金 市場価格の5〜7割程度 市場価格に近い金額
売却にかかる期間 半年〜1年

買受人が現れない限り、自宅に住み続ける

競売よりも比較的短期間
引っ越し費用 債務者が負担 売却代金から捻出することもある
社会的影響 競売にかかっていることが近隣に知られる可能性が高い 住宅ローンの支払いができなくて任意売却したことを近隣に知られる可能性はきわめて低い

任意売却はいつまでできるか

競売手続き中であっても、競売の入札期日の前日までなら任意売却は可能です。競売手続きは、債権者が裁判所に競売の申立てを行い、裁判所が申立書を審査して、問題がなければ「競売開始決定」を出すことでスタートします。競売開始決定がなされると、登記簿に差押登記がされます。

その後、裁判所から執行官と評価人が自宅を訪れ、自宅を調査し評価を行います。その評価に基づき売却基準価額が決定され、入札期間や入札締切日が公表されます。そして、入札期間内で一番高い金額をつけた人に物件が売却されることになります。

競売は、入札前日までなら、取り下げることができるため、任意売却を行うには入札前日までがタイムリミットとなります。ただ、入札前日までに、債権者に競売を取り下げてもらうには、買主を探し、売買契約を成立させておく必要があります。そのため、売却基準価額が決定され、入札期間や入札締切日が公表される頃に、債権者の同意を得て、任意売却の手続きを進めておく必要があります。

任意売却をしてもなお借金が残る場合

任意売却は競売よりも売却代金が高いため、住宅ローンの残金を大幅に減らすことができます。ただ、任意売却をしてもなお残金が多く残る場合や、他にも借金が多くある場合は、「自己破産」を行う必要があります。任意売却をした後であっても、自己破産を申し立てることは可能です。もちろん、任意売却前でも、自己破産を申し立てることはできますが、任意売却の前後によって、下記のように自己破産の手続きが大きく変わってきます。

自己破産は、債務の支払いができなくなった場合に、自分の持っている財産を現金化して債権者に分配することで債務を清算する手続きのことで、現金化できる財産を持っているかどうかで、手続きの内容が異なってきます。マイホームや車など現金化できる財産を持っている場合は裁判所が破産管財人を選任し、その管財人によって財産の管理・処分が行われ、最終的に債権者へ財産を処分して得られた金銭が分配されることになります。これを「管財事件」といいます。

一方、現金化できる財産がない場合は、自己破産の手続きの開始と同時に、手続きが終了する「同時廃止事件」として取り扱われます。管財事件か同時廃止事件か、いずれの事件になるかによって手続きにかかる費用(予納金)が大きく変わってきます。同時廃止の予納金は2万円程度であるのに対し、管財事件の予納金は最低でも20万円以上かかることになります。

そのため、任意売却で自宅を処分した後に自己破産を申し立てれば、他に財産がない限り同時廃止事件として処理される可能性が高く、予納金を抑えることができます。これに対し、任意売却前に自己破産を申し立てた場合は、管財事件として取り扱われ、予納金が高額になる可能性があります。そのため、任意売却後に自己破産をした方が得だといえます。

まとめ

住宅ローンの返済ができないといって、そのまま支払いを放置していると、自宅が差し押さえられ競売にかけられてしまいます。競売は一般的に市場価格の5~7割程度の価格で売られてしまうため、競売後も多くの借金を抱えてしまう危険性があります。返済状況や、生活状況によっては競売以外にも選択できる方法が残されています。まずは、弁護士などの専門家に相談してみるといいでしょう。

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